伝説の忠犬ゲレルトの墓、ベズゲレルト

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ベズゲレルト村の南にあるこの記念物は、13世紀初期にウェールズ大王だったスィウェリンの忠犬ゲレルトの伝説に因むものだ。

スィウェリン大王はこの地域に別荘あるいは狩猟用ロッジを構えていたといわれる。彼はベズゲレルト聖アウグスティヌス修道院の庇護者であり、その教会 は今も草地を越えた北方に見える。伝説によれば、ある日彼は狩りに出かけ、赤ん坊の息子の見守りをゲレルトに託した。静かですべては平穏だった、一匹の飢えた狼が建物に進入してくるまでは・・・。ゲレルトが自分より大きく強い狼と勇敢に戦い、撃退しようとしていたとき、赤ん坊のベッドがひっくり返った。

帰宅したスィウェリンは、ひっくり返った赤ん坊のベッドと、ゲレルトの鼻面についた血を見て、動転した。犬が息子を襲ったのだと勘違いし、彼は剣をぬくやゲレルトを切り殺した。そのとき、無事だった赤ん坊の泣き声が聞こえ、そして死んだ狼の死体が見つかった。

子どもを恐ろしい襲撃者から守って死んだ忠実な動物についての似たような民話は、いろいろな国にある。この話の原型は、スィウェリンの時代を何世紀も遡った昔に、インドを起源としたものかもしれない。このウェールズ版は、16世紀までには、当地ベズゲレルトに結び付けられていた。ベズ Bedd はウェールズ語で墓を意味するが、地名の後半ゲレルトは、元々はケレルトという人物(詳細不明)に関係していたという説もある。

19世紀の初め、ロイヤル・ゴート・ホテル の支配人デイヴィッド・プリチャードが、「ゲレルトの墓」として、川辺の草地にあるここに記念物を作った。現在この場所と、ベズゲレルト村内にある17世紀の農家〈下の家 Ty Isaf 〉 は、ナショナル・トラストが所有している。

翻訳: 藤沢邦子

所在地の地図