ロエ・プラスの黒ポプラ、セント・アサフ市

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エルウィ川沿いの風致地区ロエ・プラスは、黒ポプラで名高い。濃い樹皮の色がその名のとおり黒っぽいので、すぐそれとわかる。黒ポプラはイギリス諸島原産の樹木だが、今では少なくなりつつある。

材木としてはオフホワイトな、この樹木は昔から広く愛用されてきた。なぜなら黒ポプラは、頑丈で衝撃に強いのに軽量なのだ。兵士が持ち運ぶ盾にも適していた。でこぼこ道と戦わねばならない馬車や荷車の荷積み部分の素材としても理想的だった。その幹の形もまた、建築における建材フレームに適している(自然に曲がった材木は側面や屋根のフレームワークを作りやすい)。近年では、黒ポプラは、義足義手にも使用されて人気がある。

輸入されたり交配された樹木が、黒ポプラにとって変わるようになって以来、黒ポプラは急速な減少をみつつある。英国では約2000種の成熟した標本があるだけで、そのうち約200種が北東ウェールズに在る。

春には、黒ポプラには赤い尾状花ができる。それはかつては迷信を持たれていた。地域によって、尾状花は「悪魔の指」と呼ばれていた。不幸を招くものだとして、子供たちは落ちたものを拾うことも禁じられていた。

またロエ・プラスでは、2020年に日本大使からセント・アサフ市に寄贈された日本産桜60本のうちの数本を見ることができる。残りはセント・アサフ・コモンズに植えられている。この60本は、日英の協力と友情を記念する大プロジェクトにおいて、全英に植樹された1000本の桜の一部である。 桜の花は日本の国花であり、日本文化における精神的な美と自然の発露のシンボルだ。

ロエ・プラスはウェールズ語で「砂利の広場」を意味し、ここがセント・アサフ市内を流れるエルウィ川の砂利の土手だったことに由来する。

本稿へのご協力: ウェールズ地名学会のハイウェル・ウィン・オーウェン教授

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翻訳:藤沢邦子