アル・アイヴル峠、トレフォー近郊

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ウェールズ・コースト・パスは、ここでアル・アイヴル峠を通過する。海側に、アル・アイヴル(英語でザ・ライヴァルズとも呼ばれる)3峰の1つがある。最高峰は反対側にあり、その向こうには「トレルケイリ」という鉄器時代の丘砦の遺構がよい状態で残っている。

アル・アイヴル峠はスリン半島で高度が最も高く、海抜500メートル。半島の北海岸に横たわる断層に沿って、火山活動によって形成されたものだ。

その硬い岩盤が建築材料に向いていたので、19世紀のアル・アイヴルには、トレフォー近郊に広大な「グワイス・マウル」など、数カ所の石切り場ができた。それらは海に近いので、船で多量の花崗岩を輸送でき、きわめて費用効率が良かった。

Photo of Iron Age brooch found at Tre'r Ceiri
トレルケイリから出土した金メッキのブローチ
© ウェールズ国立博物館

さらに海岸に沿って東のペンマエンマウルでは、このような石切り場を作るため、広大だった丘砦をかなり壊してしまったが、幸いにもトレルケイリは手つかずで残った。主要な防壁は150年頃の円い小屋群の土台を取り囲んでいる。防壁の遺構はとても良い状態で保存されており、傾斜路から近づける防壁最上部にそっての通路を見ることができる。2つの入口と、3つの小さな裏門があったことがはっきりわかる。裏門の1つはおそらく、泉の水を得るために住民が用いたものだろう。

外壁の区域は、攻撃がもっとも容易だった場所(西と北)への、さらなる防御となっていた。

砦はおそらく鉄器時代(紀元前800年から紀元43年)の終わりにかけて築かれ、4世紀またはそれ以後まで(ローマ時代の陶器が出土していることからみて)使用されていたようだ。ここでは他にも考古学者により多くの遺物が発見されてきた。

代表的なものが、1世紀後半から2世紀初め(初期ローマ時代)のものと思われる金メッキのブローチ(写真)。ブローチに施された金の装飾は、後期ケルト風アート(ラ・テーヌ文化とも称される)である。ローマ人の西ブリテン島侵入後の数十年間、この砦に住んでいた鉄器時代人に好まれた様式であることを示す。また、アイルランドで発見された出土品とこのブローチとの類似性は、アイルランド海の両側で交流があったことを示唆する。

記事協力: グウィネズ考古学トラストGwynedd Archaeological Trust 、およびウェールズ国立博物館

翻訳: 藤沢邦子

所在地地図

ウェールズ国立博物館ウェブサイト

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