アニス・スランズウィン

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link_to_welsh_translationアニス・スランズウィン

干潮時には歩いて渡れるこの小島の名は、ウェールズの恋人達の守護聖人ドウィンウェンに因んでいる。彼女は5世紀の人で、敬虔なキリスト教徒だったボウィス王ブラハン・ブラケイニオグの娘だったという。

彼女はマエロンという若者との恋に落ちたが、求婚には応じなかった。おそらく父王が決めた婚約者がいたのだろう。その拒絶に怒ったマエロンは、彼女を脅すようになった。ある伝説によると、天使の助けでドウィンウェンは彼を氷に変えたが、後にその氷が溶けるよう祈った。そして不幸な恋に苦しんでいる人々を助けることに努め、やがてウェールズの人里離れたこの地に庵を建てた。

島には彼女に献じられた中世の教会の遺構が残っている。14世紀の詩人ダヴィッズ・アプ・グウィリムは、その教会を訪れたとき、金色に輝く聖女ドウィンウェンの姿を視たという。そして、彼は思わず、既婚者だった憧れの女性との結婚が叶うよう聖女に懇願したという。それ以来、恋に悩む人びとが聖女の助けを求めてこの島を訪れるようになった。ウェールズでは1月25日の聖ドウィンウェンデーは、聖ヴァレンタインデーと同じように祝われる。

また、島の〈聖ドウィンウェンの井戸〉にはかつて聖なる魚が棲んでいて、それを見た人の恋の行方を占ってくれたという。別の言い伝えによると、井戸の水が揺らめくのは幸運の先触れであり、愛は成就したそうだ。

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アニス・スランズウィンの西端には、灯台が2つある。そのうちの新しいほう(アングルシー島の風車タワーと似ている)は、もう使用されていない。近くには、水先案内人たちの小屋も残っている。船がメナイ海峡の危険水域を通過するとき、彼らが船に乗りこみ、安全な航路へと案内したのである。

1840年からは、ここに救助艇が一艘配備されてきた。1852年12月にはわずか7日の間に、その救命艇が36人もの水夫を救助した。なんと3つの異なる国の船がーーーアテナ号(ギリシャ)、ティエ・クロネ号(プロシア)そしてジュノー号(ロシア)―――遭難したのだ。

アニス・スランズウィンの岩石や地質は先カンブリア時代(約5億年前)に遡る。浜辺にある火山性枕状溶岩がこの景観を形作った海中の驚くべき力を証明しており、それらはニュージーランドの南でその地質学的活動を開始したのだった。

この島は国立自然保護地域の一部であり、同地域は南のニューバラ・ワレンおよび北のケヴニ塩沼を含んでいる。

翻訳: 藤沢邦子

所在地の地図

この地域の海難に関する HiPoints:
Holyhead lifeboat – gold and 10 silver medals for rescue before ship sank at South Stack
Newborough Warren – 79 passengers died when ferry capsized during argument over fare in 1664

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